Alice38: Catching the light
(続き)
ふらっと出かけることが、もう何日もない_などと考えていた夕暮れ。傾いた陽射しが、白い箱を照らしているのに気付いた。いつ食べ終わったものだったか覚えていないのだが、原産国ベルギー、加工地千葉県という珍妙な表示に驚いたものの、箱の中に整列していたチョコレートは美味しかった。
白い箱に射した光とイラストが気に入って、画像に残しておくことを考える。せっかくだから人形も一緒に。こんな急遽の出番に応えてくれるのはビスクのこの子しかない。
撮影を始めて最初の内は、何だか寂しそうで、儚げに見えた。それが、光の傾きが変わって、瞳に光が入り始めると、俄然、この子本来の強い意思のようなものが現れる。瞳が生きている死んでいるというのは、こういうことなのかと思った。
未明の街路を30分ばかりジョギングするのが日課になっている。しかし日中は一度も出歩かない日が続く。近所の駅ビルから書店が無くなってしまったのが、私には、やはり大きかった。ぶらぶら歩いてみなければ瞳に光が入ることもない。目的もなく出歩いてこそ思いがけない気づきが生まれてくるのだ。