三柳早帆: かはたれの虹

（続き）

• 
• 
• 
• 
• 
• 

• 
• 
• 

昨年９月中頃の撮影。
この後、すぐに彼女の２冊目のフォトブック「夜明けの虹」を発注している。今日のこのシリーズはブログにする為の画像アップロードさえしていなかった。
この頃の私は、彼女の明るい画像を撮りたくて汲々としていた。八嶋十三さまの撮影した公式画像のイメージがあまりにも強烈であるため、そこから逃れたいと考えたのだろう。金襴の布地を用意して、午前中の陽光が入る東の窓辺で撮影した。
撮り終えた時は、それなりの満足感があり、２冊目のフォトブック発注に繋がったのだが、編集の段階で目が留まるのは、こんな明るい画像よりも色濃い影に支配されたものだった。早朝、西の空に架かっている虹に見惚れて、フォトブックの題名を「かはたれの虹」からもっと平明な「夜明けの虹」に変更したにも拘らず。
その後、この子の撮影には苦慮している。明るい画像を撮ろうとしても、何かが違う気がして、撮るのを止めてしまったことが何度か続くことになった。
このシリーズの最後に登場する書は、人形作家青扇さまから頂いた明の詩人高啓の七言律詩「梅花」。詩中の「月明林下美人来」の「美」が、この子の背に来るように高さを調整したのだが、思い描いたようにはならなかった。