Elica: Amber light

（続き）

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大きな低気圧。
普段なら、その前段階として偏頭痛があったはずなのだが、今回は無事通過。真っ暗な室内に独り居て、窓を見ていた。洗濯機の背後に、普段の撮影場所よりも狭小の窓が在って、そこにバーボンの瓶を置いてみた。買ったばかりで、それほど減っていないし、僅かな光が琥珀色の液体を透過するのを眺めるには好都合だった。
傍には何となく Elica を持ってきた。MANA 朗子でも良かったのかもしれないが、黒いドレスよりは白い薄物の方が相応しく思えた。
母は琥珀のアクセサリーが好きだった。形見分けでは着物やアクセサリーの類は全て妹のものとした。私も琥珀かカメオの一つぐらい貰っておいてもよかった。小さい頃に、琥珀は松脂のような樹脂が固まったものと聞かされたのだが、そのどこが美しいのか分からなかった。小さなゴミが混ざった褐色の塊よりも、赤や青、緑、或いは虹色の輝きを持つ石の方が美しいと思っていた。
安いバーボン越しに見える網戸の縞模様を眺めながら、行く当てもない Gdańsk の街を夢見ている方が私らしいのかもしれない。