三柳早帆:異国にて
(続き)
この子の撮影は難しい。
あれもこれも、思い描いていた画像に合わせて準備したものや全ての試みは、狙いどおりにいかなかった。八嶋十三さんによる公式画像の印象が未だに強くて、そこから脱することが出来ない。和装であることも撮影のハードルを高くしている。
背景に何か似合うものを_と考えるのだが、思い描くのは高価なものばかり。母の遺品の中には今から思えば、この子に相応しい陰翳を添えるものがあった。しかし私の手許には残っていない。
Zinaida 夕湖のために手作りした背景を苦し紛れに試してみる。帯揚げに合わせた緑の布を窓から遠い位置に配して。
漸く、残しておこうと思う画像に巡り合えた気がした。妄想の街、
この人形にも、日本の雰囲気から遠く離れた背景を持ってくる方が良いのかもしれない。それがどんなものになるかは未だ見えてこないのだけれど。