Yu-ko: An idea and test shots
(続き)
タイルの壁や床を背景にして人形を撮ってみたくなった。
頭の中にある画像の出所が思い出せない。
手摺のある階段と朽ちかけたグランドピアノ。狭くて薄暗い空間には埃が舞っている。日本のどこか_という感じではない。鎧戸の向こうには運河。行ったこともないくせに、ベニスの古い建物を思い描いている。こんなとんでもない時期だから、ベニスという地名が思い浮かぶのかもしれないが。
100円ショップの画用紙を正方形に切って並べる。ただそれだけのことで首筋が痛む。カッティングマットの上で作業するのが好きだったはずなのに、今では何もかもが煩わしい。自分が自分でないように思えてくる。それでも、並び終えた白と黒の画用紙をカメラで覗くと、そこには全く別の世界が広がっている。傾いた陽射しに染まり始めた西の窓辺に立てかけて、Zinaida 夕湖を試し撮りする。いつものことながら息を呑むしかない。しかし、色数が不足しているように思えたので、ここに赤を付け足してみることにした。
その結果の如何については次回へ続けることにする。